2007年04月26日
大口男
朝靄が立つ、いつもの朝を俺は迎えていた。
昨夜は夕刻からの深酒だったが、悪酔いはしていない。
美味しくないはずのフイッシュ&チップスがやたらいけてたからか。
心斎橋駅に向うためアメ村の御津八幡宮を少し過ぎた時だった。
アメ村によくある小汚い雑居ビルの入り口奥に、
大きな人影が見えた。
いつもなら無視するのだがその日は、
少し酒が残っていたせいか、その男に近づいた。
「なぜここに吊っ立っているんだ」
その男は表通りに向かって立ってなく、壁に向かって立っていた。
「帰らないのか? ・・ しゃべれや!」
「あぁ・・」
「どうしたんだ? ここにいなければならないなぜだ?」
「寒くないのか?」
「…」
「こんなとこじゃ何だから、
熱いコーヒーでも飲みながら話そうや」
男は相変わらず大きな口をあけ続けている。
ドレッドヘアーの頭、パンク風のシャツに
レザーパンツの出で立ちに、顎が抜けたのか、
開け続ける口の奇妙な男にかなりの興味を持ったのだ。
「さぁ、行こうや」
どうしても動こうとしないから俺は男と壁の隙間に体を入れ、
背中を強く押した。
「ダァーン!」
かなり大きな音が狭い廊下に響き渡る。
男はうつ伏せに倒れていた。
しかも首と右腕がはずれていた。
俺は、つくりものと会話していたのだ。
しかし男のあの目は、
たしかに昨夜まで生きていた目だった。
昨夜は夕刻からの深酒だったが、悪酔いはしていない。
美味しくないはずのフイッシュ&チップスがやたらいけてたからか。
心斎橋駅に向うためアメ村の御津八幡宮を少し過ぎた時だった。
アメ村によくある小汚い雑居ビルの入り口奥に、
大きな人影が見えた。
いつもなら無視するのだがその日は、
少し酒が残っていたせいか、その男に近づいた。
「なぜここに吊っ立っているんだ」
その男は表通りに向かって立ってなく、壁に向かって立っていた。
「帰らないのか? ・・ しゃべれや!」
「あぁ・・」
「どうしたんだ? ここにいなければならないなぜだ?」
「寒くないのか?」
「…」
「こんなとこじゃ何だから、
熱いコーヒーでも飲みながら話そうや」
男は相変わらず大きな口をあけ続けている。
ドレッドヘアーの頭、パンク風のシャツに
レザーパンツの出で立ちに、顎が抜けたのか、
開け続ける口の奇妙な男にかなりの興味を持ったのだ。
「さぁ、行こうや」
どうしても動こうとしないから俺は男と壁の隙間に体を入れ、
背中を強く押した。
「ダァーン!」
かなり大きな音が狭い廊下に響き渡る。
男はうつ伏せに倒れていた。
しかも首と右腕がはずれていた。
俺は、つくりものと会話していたのだ。
しかし男のあの目は、
たしかに昨夜まで生きていた目だった。
Posted by 渡邉郁夫 at 21:02│Comments(0)
│カルチャー