尼崎青年愚連隊 ~一番亭物語2 ミユキちゃんに涙の餃子篇~
大学1回生のある時のこと。
それは衝撃の日曜だった。
俺はいつものようにカウンター内の餃子焼きとラーメンコーナーに陣取っていた。
白衣に前掛け姿、当然クリーニングされているがお腹あたりは油で汚れは落ちていない。
日曜は平日よりも客は多い。
途切れることがなく客は来る。
中丼に焼き飯、中華ランチ、から揚げ、ビール・・・。
夜の八時ごろ、自動でない引き戸のドアから現われたのが、
なんと高校時代の同級生の女の子ミユキちゃんと男性。
男は今でいうところのイケメンだ。
ミユキは高校時代密かに好きだった女の子。
ミユキと男はなんと俺の真ん前のカウンターに座ったから、サー大変。
なんせ俺は女性と付き合った事もない超奥手のドーテー野郎。
しかも注文がギョーザ3人前と来た!
「なんで、ココへ来たん?」と俺
「たまたま彼の車で」とミユキ
~そうかやはりデートなんや!(泣)
俺は小汚い白衣で当時120円のギョーザを焼いてる。
キミは(おそらく)彼氏と日中、宝塚ファミリーランドか万博公園でデートして、
晩めしに街の中華料理屋に行きたかったのか。
しかしなぜこんな郊外の個人店に・・・。
「右の彼はどちらの人?」と俺
「関学の野球部なの」とミユキ
高校時代野球部2年中退で、
年に7回はバッターボックスで打てない夢でうなされる俺に
関学で、野球部。
つまり高校も野球で鳴らしたわけか・・・。
グヤ゛ジー。
いつもは慣れたギョーザをそれはそれは緊張しながら焼いた。
本当は心が黒焦げに焼けてたんや。
トホホ・・・な19歳の秋でした。
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