尼崎青年愚連隊 ~一番亭物語2 ミユキちゃんに涙の餃子篇~

渡邉郁夫

2011年10月06日 20:43

大学1回生のある時のこと。

それは衝撃の日曜だった。

俺はいつものようにカウンター内の餃子焼きとラーメンコーナーに陣取っていた。

白衣に前掛け姿、当然クリーニングされているがお腹あたりは油で汚れは落ちていない。

日曜は平日よりも客は多い。

途切れることがなく客は来る。

中丼に焼き飯、中華ランチ、から揚げ、ビール・・・。

夜の八時ごろ、自動でない引き戸のドアから現われたのが、

なんと高校時代の同級生の女の子ミユキちゃんと男性。

男は今でいうところのイケメンだ。

ミユキは高校時代密かに好きだった女の子。

ミユキと男はなんと俺の真ん前のカウンターに座ったから、サー大変。

なんせ俺は女性と付き合った事もない超奥手のドーテー野郎。

しかも注文がギョーザ3人前と来た!

「なんで、ココへ来たん?」と俺

「たまたま彼の車で」とミユキ
~そうかやはりデートなんや!(泣)

俺は小汚い白衣で当時120円のギョーザを焼いてる。

キミは(おそらく)彼氏と日中、宝塚ファミリーランドか万博公園でデートして、

晩めしに街の中華料理屋に行きたかったのか。

しかしなぜこんな郊外の個人店に・・・。


「右の彼はどちらの人?」と俺

「関学の野球部なの」とミユキ

高校時代野球部2年中退で、

年に7回はバッターボックスで打てない夢でうなされる俺に

関学で、野球部。

つまり高校も野球で鳴らしたわけか・・・。

グヤ゛ジー。


いつもは慣れたギョーザをそれはそれは緊張しながら焼いた。

本当は心が黒焦げに焼けてたんや。



トホホ・・・な19歳の秋でした。




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